New MacBook Family 2008

 

2008年10月18日

2008年10月

[2008.10.18] New MacBook Family 2008

家電量販店でも店頭展示が始まった「New MacBook」の印象。

発表会場で流された映像では、製造工程の少々こ汚い工作機械まで公開する力の入れようである。

インテルのチップ製造工程のプロモーションにあるような、ウソ臭いほどに美しい映像と比べると絵的には見劣りするが、実際の製造現場はあんなもんだろうと逆に生々しくさえある。(参照画像

とりあえず、手に触れることが出来たのは「MacBook 13 インチモデル」だけであるが、アップルの売り文句とあわせて検証してみる。


◎ 高精度「ユニボディ」

一枚のアルミ板から削り出された、継ぎ目のないなめらかな筺体「ユニボディ」。
これまで以上に薄く耐久性にも優れ、とても美しいデザインとなっています。


たしかに、エッジの処理やポート周りに高級感が漂っている。

キートップやヒンジ、テカテカ画面などの黒い部分とトップパネルのコントラストが開いた時のケバさに貢献している。そして、それを閉じたときの上品さとのアンバランスが非常に魅力的だ。

いっそディスプレイ背面も真っ黒にすればとも思うが、いずれお得意のスペシアルエディッションとして登場するかもしれない。

先月発表された "iPod nano" のシルバーモデルが、従来の白いホイールから黒になったのも、このコントラストをトレンドにしたいという思惑があったからだろう。

◎ LED バックライトテクノロジー

新しい「MacBook」は、バックライトに発光ダイオード(LED)採用。
蛍光灯と比べて約30パーセントも消費電力を削減。
LEDは、蛍光灯よりも小さく明るいため、ディスプレイをはるかに薄くでき、蛍光灯とは異なり一瞬で最大発光量に達します。


最近のバックライトは、通常室内での使用では最大輝度で使う必要のないぐらい明るいので、「一瞬で最大発光量」に達するメリットは確認できなかった。

LED 化の最大のメリットは、2〜3年後の劣化(輝度落ち)が少ないことのような気がする。これは、新規に購入したユーザのためではなく、次の新製品に買い替えるとき転売したユーザに喜んでいただける仕様と理解したい。

それより実質のメリットは、消費電力だろう。

サイズ的には従来の「MacBook Pro」でも十分に薄かった印象があるので「はるかに薄く」なっているという感じはしないが、「消費電力を削減」が後述の高速なグラフィックプロセッサの搭載に貢献したのは間違いない。

◎ ガラス製マルチタッチトラックパッド

新しい「MacBook」のトラックパッドにはボタンがありません。
なめらかなガラス製のトラックパッドそのものが、ボタンです。
独立したボタンをなくすことで、トラックパッドが39パーセントも大きくなり、マルチタッチジェスチャーをトラックパッドに組み込みました。


「トラックパッドにはボタンがありません」
これには、だまされた。

「トラックパッドそのものが、ボタン」という意味がすぐに理解できず、従来のタップで代用するのかと思いきや、トラックパッド全体が前方を支点に沈み込むメカニカル方式であり、もちろんクリック感もある。

したがって、
「トラックパッドには独立したボタンがありません」
または、
「トラックパッドにはボタンらしきモノが見えません」
が、 正しい。

ま、だまされたといっても悪い意味ではなく、こっちが勝手に想像した以上にデキが良いということだ。 発想としては、純正マウスと全く同じといえる。

「どこがガラス製ぢゃ」と、いいたくなるほどガラスには見えない表面材質は、額面通りの滑らかさでスムーズである。

しかし、ちょっと力むとトラックパッドそのものが沈み込んでクリックになってしまうので、このへんは慣れが必要だろう。

「MacBook Air」のシステム環境設定と同様に、トラックパッドに関する設定はマウスやキーボードとは別の独立項目になっている。機能が複雑になったおかげで、動画まで採用した凝った造りではあるが、一見しただけではやっぱり分かりにくい。

  1. 余談だが、システム環境設定内の省エネルギーのアイコンは、従来の白熱灯がらスパイラル蛍光管(通称ウンコ電球)に変更されたようだ。

◎ 新しい業界標準であるミニ・ディスプレイ・ポート(Mini DisplayPort)

新しい「MacBook」には、大きな差がつく小さなポートがあります。
超コンパクトなポートがプラグアンドプレイの簡単さで、外部ディスプレイとの完全デジタル接続を可能にします。


これについては、新しい「Apple LED Cinema Display」を実際に使用してみないとわからないが、「旧MacBook」と「旧20インチ島根」を使用している立場からすれば、アダプタ無しでダイレクト接続出来るメリットは理解できる。

ほんの数カ月前に購入した物を「旧」と記述するのは誠に遺憾ではあるが...。

◎ 内部アーキテクチャも、ゼロから再設計

ロジックボードもチップセットも新しくなり、パワフルで新しいグラフィックプロセッサを搭載。
ノートブックコンピュータは、バッテリー駆動時間を延ばすためにグラフィックパフォーマンスが犠牲になっていました。
新しい「MacBook」に搭載された「NVIDIA GeForce 9400M」グラフィックプロセッサは、バッテリー駆動時間を縮めることなく、これまでの機種と比較して最大5倍高速化します。


「これまでの機種と比較して最大5倍高速化」というのは、店頭デモ機単独では確認できなかった。

たぶん「Apple LED Cinema Display」を繋いで、気合いの入った作業をやるときにはジワッと効いてくる類いのモノだろうと想像する。

上位機種である15インチはこの手のチップを2個も積んでいるそうだが、「デスクトップ不要論」を強力に後押しする仕様といえるだろう。

バッテリーは、昨今の製造メーカのチョンボによる対応に懲りて、ボディ一体化デザインはカバー方式に変更になった。そのおかげでどちらの機種も、ハードディスク交換はネジ一本で簡単に行え、メモリも四本程度らしい。(と思ったら見えない所にもう四本あった)

ちなみに、1月に鳴り物入りで発表された「MacBook Air」についても、今回マイナーチェンジでミニ・ディスプレイ・ポートが搭載された。

さすがに、「トラックパッドにはボタンがありません」とまではいかなかったようだ。内蔵ストレージの変更を除けば、液晶部分も含めてあまり目立つアップデートはされていない。

旧機種のユーザに対する配慮などアップルがするわけないので、たぶん単なる手抜きであろう。価格だけは、旧機種のユーザに対する配慮からか、目を凝らしてよ〜く見ないとわからない程度しか下がっていない。

ついでに、国内の販売価格についても検証してみる。

本国でついに大台を割って $999 の値札が付いた The White (MacBook 13 White) の国内販売価格は、114,800円。だいたい $1=115円計算ということがわかる。

MacBook Pro 15 2.53GHz ($2,499)=288,800 (115.56円)
MacBook Pro 15 2.40GHz ($1,999)=248,000 (114.45円)
MacBook Pro 13 2.40GHz ($1,599)=184,800 (115.57円)
MacBook Pro 13 2.00GHz ($1,299)=148,800 (114.54円)

Apple LED Cinema Display ($899)=98,800 (109.89円)

今回の新製品はいずれも 114~115円台、この中ではLED 島根のみ戦略的な価格設定。

今年四月に発売された、「iMac Eraly 2008」でさえ、111~116円程度なんだから、円高の現状を考えると「MacBook」シリーズはちょこっと高い気がする。

ところが、
MacBook Air 1.60GHz ($1,799)=214,800 (119.39円)
となり、本来ならば 207,000円ぐらいが妥当な価格であり、島根並の戦略的な価格なら、199,800円という手もあったと思う。

本国で同じ価格の「iMac 24-2.GHz ($1,799)」の国内販売価格は 199,800円であることから、やっぱり価格の面でも手抜きということか。


ついでに、現物はまだ拝んでいないが「Apple LED Cinema Display」について。


◎ 「MacBook」ためにはじめてつくられた専用ディスプレイ

LEDバックライト搭載では最大のクリアワイドスクリーンディスプレイです。USB 2.0ポート、iSight カメラ、マイク、スピーカー、をすべて内蔵。
「LED Cinema Display」には、「MacBook」を充電してくれる MagSafe 電源アダプタがついていますので、専用の電源アダプタのコードをほどいてつなぐ必要はありません。電源アダプタは外出専用にして、バッグに入れたままにできます。


従来のデスクトップ機や「旧MacBook」ファミリーでは使えないという、また思い切った仕様である。アダプタでも対応しない。

ただし、その逆は可能で「New MacBook」ファミリーに対しては、同時に旧仕様のディスプレイに対応するアダプタを販売するという可愛がりようである。

ディスプレイの方から電源まで供給してくれるというのは、かつてのADC ディスプレイポートと全く逆の発想であり、このあたりにも時代の流れを感じる。

従来のシネマディスプレイは背面から出ているケーブルこそたった一本で、後ろから見ても美しい数少ない製品ではあった。

だが、そのたった一本の先には電源アダプタやら、三つ又のひとつにはフルサイズのデカいDVIコネクタなどが不細工に生えていた。

今回の「Apple LED Cinema Display」では電源を単独で供給するため二本に増えたが、目に触れることの多い「MacBook」との接続側はスッキリとした印象である。

欲をいえば、一本で繋がるコネクタを望みたいところだが、業界との兼ね合いもあって難しいだろうなあ。この次は、ぜひケーブルなしで繋がる技術を実現してもらいたい。

「旧MacBook」と「旧20インチ島根」に「BOSE M2」をつないで使用している立場からすれば、「MacBook」につなぐと、すべてのUSBポート、そして内蔵iSightカメラ、マイク、スピーカーも使えるようになるメリットは非常に理解できる。

ほんの数カ月前に購入した物を「旧」と記述するのは断腸の思いであるが...。

  1. 社内では、ここ数ヶ月上記のようなの使い方をしている。ディスプレイは電源を入れたら直ちに閉じて、「Apple Wireless Keyboard」と「Apple Wireless Mighty Mouse」で操作するというもので、通常の使い方ではそれまで使用していた「iMac 20」とほとんど変わらない。

  2. ただ、不便なのは電源を含めて7本(Gigabit Ethernet、モニタ、FireWire、USBx2、M2)ものケーブルを差した上、電源を投入するために液晶パネルを開かないといけないことだ。

  3. 「旧20インチ島根」には接続した本体の電源をコントロールするボタンがないことと、20インチ単独画面で使いたいので前述のように、「 ディスプレイは電源を入れたら直ちに閉じる」という作業が必要になる。

  4. これは「MacBook」本体を「旧20インチ島根」の左側に設置し、ドックを画面左側に表示させている関係上、連続画面で使用するとサブの13インチ側にドックが表示されてしまうのを防ぐため。もちろんこの状態では、内蔵 iSight カメラは使用できないが、優先順位でどうしてもそうなってしまう。

  5. 現物では確認できていないが「Apple LED Cinema Display」はこの辺の問題に対応した製品であると確信している。ただ、電源のコントロールに関してはチトあやしい。

  6. 公開されている画像にはボタンらしきものは全く見えない。見えないから無いというのは、トラックパッドの例もあるので断言はできないが、ま、あるといいなぐらいに考えておこう。

要するに、「MacBook」のディスプレイを完全に閉じた状態で全機能をカバーしようという、従来からやって出来ないことはないが、いろいろと不便な点に目を瞑ってというものではなく、完璧を目指した積極的なアプローチである。

もちろん、あまり売れていなさそうな「Apple Wireless Keyboard」に対する営業支援と見えないわけではないが、力が入っているのは間違いない。この勢いで、ぜひテンキー付きの「Apple Wireless Keyboard Plus」か、「Apple Wireless TenKeyPad」みたいなものを販売すれば名実ともに完璧になると思う。

また、「Apple Wireless Multi-Touch TrackPad」というもの話としては面白いが、それより「Apple Wireless Mighty Mouse mini」という、もう少し安価で小振りなワイヤレスマウスでもこしらえてはくれまいか。


これまで、新しく増えた機能ばかりをアップルの売り文句にそって書いてきたが、当然その影に失われた機能もある。

まず、「MacBook」ではついに「FireWire」が廃止された。

15インチの「MacBook Pro」に関しては「FireWire 800」のみ残されているが、それだけのため(でもないけど)にプラス10万円を出せるものなら出してみろと言っているようだ。

これで、「ふん、FireWireもねえような機種はいらね」とも言っていられなくなったが、ターゲットモードはどうしてくれるんだろう。

「MacBook Air」で様子見をした結果が反映されたのだろうが、ポートのサイズから考えて技術的、コスト的な要因よりも多分に政策的な意図がありそうだ。

ラインナップを仔細に検証すると下位モデルは、以前の最下位モデルよりクロックが低いのが引っかかる。 旧デザインのままスーパードライブを搭載して価格が下げられたおつとめ品である、「MacBook 13 White モデル[MB402J/B]」でさえ2.1GHz なのに、なんでわざわざクロックダウンさせる必要があるのだろう。

どうせ「FireWire」がないならキーボードは光らなくても下の機種でいいや、的な選択の歯止めのために 0.1GHz 下げたとしたら、これはセコイやり方だ。

最近のバージョンアップでは、新機種を出すためにわずか 0.04GHz でもアップした昨年の11月の「MacBook [MB063J/B]」や、今年4月の「iMac C.T.O. モデル」のようにわずか 0.06 GHz でも 3GHz を超えたクロックアップ設定したことを考えると、今回のスペックには疑問が残る。

もちろん、単にチップ供給メーカの都合の可能性もある。

インテルのロードマップとアップルの製品発表スケジュールにズレが生じたのか、 ノート用のCPU開発において消費電力との兼ね合いなどから、クロックアップが壁にブチ当たっているのかもしれない。

または、ここ数年バッテリーの革新的性能向上がないことに加えて、安全性の問題が表面化したことによって基板設計にも支障が出てきているのかもしれない。

いずれにしても、筐体にまで独自の理想を突き通したにもかかわらず、性能的なメリットをアピールするためにグラフィックプロセッサのメーカを全面に出さざるをえない背景に、アップルのジレンマのようなものを感じる。


今後の展開でどうなるかは不明だが、新デザイン版の17インチモデルやオールブラックモデルも現状では発表されていない。

ま、17インチモデルは24インチの「Apple LED Cinema Display」があればいらんだろうということかもしれない。個人的には、24インチより安い20インチ版もあればとケチな期待もするが、たぶん無理だろう。

今後も開発されるであろう、より小型軽量で強力なパワーを持ったノートパソコン+専用のインターフェイスを持った大型ディスプレイという組み合わせ。

「iMac」のようにコストパフォーマンスに優れた一体型デスクトップ機+ "iPod touch"、"iPhone" のようなポケットサイズの端末。

または、それらのバトルロイヤルなど。

昨今流行りのモバイルには、いろいろな考え方があるので安易に「デスクトップ不要論」には同調できるものではない。ただ、今回の製品群にみられるようなアプローチは、選択肢のひとつとしては現実的な考え方かもしれない。

いずれにしても「デスクトップ不要論・パソコン不要論」の背景に、国内の携帯電話程度を想定しているような輩には「モノ作り」の意味やその価値は理解出来まい。

2008年10月某日 Hexagon/Okayama, Japan