iPhone 3GS 内臓スピーカの音質について

 

2009年07月29日

 
iPhone 3GS 内臓スピーカの音質について

iPod touch も第二世代でスピーカ内蔵になったが、ただ「音が出る」という程度で、音質がどうこういうレベルではない。どこといって特定の場所から音が出ているというわけではなく、背面全体から音漏れしているような感じである。

ところが、iPhone のそれは明らかに違う。

iPod touch ではそれなりの効果があったので常用していた「Pocket Speaker」を接続しても、それほど改善されたように聞こえない。

普通モノラルからステレオになっただけでも、音質が改善されたような印象を受けるものだが、「大して変わらんな」という程度の差でしかないのだ。

前述の「Pocket Speaker(NV-PS611)」は、単4乾電池1本で動作するノーブラ・ノーパンな小型スピーカである。ノーブラといっても一応「ネイティブ」というメーカというか販売会社はあるが、当然オーディオメーカなどではない。

以前、第二世代の iPod shuffle 用に購入したコレガのスピーカがヒドイ出来だったので、も少しマシなものはないものかと物色中に、偶然発見したものである。

コレガのスピーカ(CG-IPSPDC02)は、単4電池二本またはUSBからの給電による2電源仕様で、付属のUSBケーブルでMacと接続すれば同期も可能といった、スペック的には申し分のない製品なんだが...。

たしかに第二世代の iPod shuffle に合わせたデザインで見た目は良いのだが、その音質には落胆させられた。(USB も今さらの低速な ”ver.1.1” で、全く実用性はない)

もちろん、「Pocket Speaker」も購入前に音質の判断が出来たわけではないので、主にその大きさ(小ささ)に魅かれた衝動買いであった。

ところが、コイツがサイズの割に思いのほか良い鳴りっぷりで、大変満足していた。

音楽はもちろん、iPod touch で映画を再生した場合など、セリフの明瞭度が明らかにコレガとは違うのである。

コレガのスピーカが単4電池二本駆動に対して「Pocket Speaker」は単4電池一本なのに、なんでこうも音が違うのか、購入当時いろいろ探ってみたものだ。

一般的には動作電圧が高い方がアンプにも余力があって、単4電池二本仕様の方が一本仕様よりはマシな音がするはず、である。

しかし、 コレガの方はアルカリ電池を想定しているため充電式電池(ニッケル水素電池)は使用できませんと取説にも明記されているんだな、コレガ。

アルカリ電池二本(定格1.5v x 2 = 3V)に対して、ニッケル水素電池(定格1.2v x 2 = 2.4V)となり動作電圧が 0.6V も低下してしまうからであろう。

充電電池でもフル充電をかましておけば、実際には動作するが比較的短時間のうちに歪みっぽい音になり、そうでなくても音が悪いのに聴くに堪えなくなるので全く実用的ではない。仮に電源を安定させても劇的な音質改善にはならないことは明らかで、主たる原因はおそらくユニットの背圧処理の違いであろうと結論づけた。

コレガのスピーカの電池収納スペースは、フタを開けると内部構造がある程度見えるような隙間がある。

ユニット取り付け部は外部と完全に遮断されていないので、電池収納スペースのフタの隙間や切り替えスイッチ、USBケーブル接続部など、それこそありとあらゆる隙間から背圧がダダ漏れなのである。

これぢゃあ、まともな音がするわけがない。

いくら本業はネット屋でオーディオメーカではないといっても、鳴りゃあいいってもんぢゃないだろうに。(だからといって、アライドテレシスがスピーカを作っても、たぶんロクなことにはならんだろう)

その点「Pocket Speaker(NV-PS611)」は、電池収納スペースはユニット取り付け部と完全に独立している上に密閉されている。加えて、その形状も仰角を得るために三角形になっているので、ユニット背面のスペースはかなりタイトな構造である。

その結果、再生音も小型スピーカにありがちなシャリシャリした音ではなく、芯のある中高域でそこそこの明瞭感を実現している。もちろん、このサイズであるから低域もそれなりであるが、無理に下を欲張っていないことが歪みっぽくないクリアな音質に貢献している。

入力端子も一般的な3.5mmのミニステレオプラグ(カールコード付)で、接続機器を選ばない点も使い勝手が良いし、アルカリ電池だけでなく充電式電池でも問題なく動作する。

同メーカの上位機種で「Bazooka Sound - 3D Pocket Spealer (NV-PS612) 」というのもある。

こちらは、リチウムバッテリー内蔵で、なんとウーファー(笑)を搭載して音質調整機構まで奢られた高級版なのだが、当然サイズがデカくなり、本来の魅力である「ポケットに入る小ささ」を著しくスポイルしている。

ま、入れりゃ入るけど誰も入れんだろう、という勘違いな品である。

音質は、ウーファーのおかげでそれなりに上がるが、付属のスタンド(兼共鳴箱?)に乗せないと十全な効果が得られないというところもツラい。こちらのシリーズは機能がが豊富で、マイクやら FM トランスミッターやらテンコ盛りの機種(カラオケマシーンか?)もある。

しかし当初の、安い、小さい、ウマいの微笑ましさも、機能の増加とともに笑っていられない価格になってくる。611シリーズに気を良くして、調子に乗って作り散らかしたせいでコケたんだろう、ということは容易に想像できるが、自社の製品がなぜ売れたか(または売れなかったか)の分析を誤るとたいていこうなる...ような気がする。

2007年の夏頃にはネット上のあちこちで販売されていたが、残念ながらすでに完売のところが多く、入手は困難かもしれない。(ネイティブという会社が何者なのかは知らないが、たぶん意図した音質ではなく、単なるマグレなんだろうけどね)

で、iPhone 3GS 内臓スピーカの音質である。
(毎度、長い前フリですまぬ)

iPhone の場合、スピーカはマイクと平行する位置で本体下部に設置されているが、マイクにある程度指向性を持たせているので、割と近い距離で並んでいてもハウリングを起こさない設計である。

開口部はせいぜい2mm x 5mm 程度しかないので、それほど大きなユニットを搭載しているわけではないだろうが、こいつが生意気にも、結構まともな音を再生する。もちろん音楽に対しても、である。

ためしに、音楽再生中にスピーカの開口部を指で塞いでみるといい。ほとんど聞こえなくなるほど密閉度は高く、背圧の処理がうまくいっていることがわかる。(密閉型フロントロードホーンか?)

しかし、ミュージックプレイヤーである iPod の方が音が悪いというのも、いかがなものかという気もする。先代の iPhone 3G の時から、基本的な仕様は変わっていないので、時期的には iPod touch 2nd にも搭載可能であったはずなんだが...。

ぜひ、iPod の新製品にはこの手のユニットを使用して、できればステレオスピーカを内蔵してくれることを期待する。(ついでに ”MacBook Pro” みたいに、低域専用ユニットを搭載して3D方式にすればかなり面白いと思うな)

その方が不必要な短小軽薄化や半端なカメラなんぞを搭載するより、ミュージックプレイヤーとして真当な進化とは言えまいか?

2009年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan