Apple TV 雑感

 

2010年12月04日

 
Apple TV 雑感

製品番号: MC572J/A(¥8,800:Apple Store)

前回「AirPlay」機能に絡めて、DAコンバータ搭載のスピーカシステムについて妄想を書き連ねたのだが、AirTunes(要するに、ワイヤレスで音楽をトバしてやろうということ)に関する続きである。

周知の通り、iOS ver. 4.2.1 にアップデートされたディバイスでは、再生コントロールの中に出力先の選択ボタンが表示される。ここに Mac の iTunes と同様に、無線LAN に接続された出力先の一覧が表示され、スピーカを選択できるようになった。

従来は AirMac Express が唯一の選択肢であったのだが、ここに Apple TV という選択肢が増えた。

というより、AirMac Express は、本来サーバやインターネットへの接続といった、言わば家庭内ネットワークの要となる無線LAN用のルータであり、その余技として AirTunes 機能も搭載されていた、というのが正しいかもしれない。



Apple TV 2010

2006年9月に、iTV として発表され、2007年1月に正式に「Apple TV」として製品化された。その後すったもんだの揚げ句、3月になってようやく出荷されたのであるが、発表当初はユーザ側に明確な用途としての要求があったわけでもなく、同時期に発表され話題の中心であった、初代 iPhone の陰に隠れて「なんか変なモノ」としての印象しかない。

基本的なコンセプト自体、初代の Apple TV から大きく変わっていない。しかし、iPhone や iPad など周辺の状況にパラダイムシフトともいえる劇的変化があったために、その小型化された筐体の変わりざま以上に受け入れやすくなっている。

もちろん大幅に改定されたその価格こそが、最大のチャームポイントであることは明らかであるが、ハードウェアをサポートするインフラやソフトウェア環境が整備されたことも、購買欲をそそる要因になっているだろう。

発表当初、田舎町では MacBook Air とともに、最大手の家電量販店でも在庫はおろか店頭展示さえもなく、これ幸に無視することに決めていた。

ところが、アップルストアで24時間以内に出荷の表示とともに、「食べごろですよ」とばかりに原寸大表示になっていた Apple TV と目が合ってしまったので、ついポチッてしまった。

当初の目論見は iPod Hi-Fi の AirTunes 機能専用になっていた AirMac Express を本来の用途(外部持出用アクセスポイント)としての職責を全うさせるためであったのだが、…。

アップルストアの表示とは裏腹に、その筐体サイズは思いの外小さい。確認もなしに原寸大表示と表記したが、実物を手にしてみると拡大表示であったことが判明した。

Apple TV には有線/無線を問わず、既存のLANに接続する機能はもっているが、それ自体にアクセスポイントとしての機能はない。設定も AirMac ユーティリティなどを使用してMacで行うのでなく、付属のリモコンを利用しテレビに繋いで設定するようになっている。

設定画面では、画面上に表示された機能をリモコンの方向キーで選択していき文字の一覧(ソフトキーボードではない)から選択する、一般的なテレビなど家電製品ではお馴染の方法であり、その使いにくさやまだるっこしさも家電製品レベルである。

そしてそれ以上に残念なのが、一通りの設定を終えたあとのメインメニューに相当する画面でさえもが家電製品レベルであり、Mac OS に標準搭載されている「Front Row」ほど洗練されていない点だろう。なんかめっちゃダサイのである。

しかし、その機能は多彩でYouTube や Podcast はもとよりインターネットラジオや映画のレンタルおよび購入など、ありとあらゆるものが詰め込まれている。

とうぜん音楽再生中はジャケットの表示もしてくれる。(が、ジャケット表示の仕方は一辺倒で芸がないのでプラグイン対応とかで何とかして欲しい気もする)

本体には電源スイッチもなくHDMI 端子に接続されたテレビの電源に連動して行われるようで、普段は黒くて小さい只の箱に過ぎない。(ま、電源が入ったところで豆粒のような白色LED が一発光るだけなんだけどね)

また、これだけ小型化された筐体でありながら、サードパーティ製品にありがちな不細工な AC アダプタ経由でなく、AC 100V が直接入るブタ鼻コンセントが採用されていることは称賛に値する。

あとは、初期型の AirMac Express で見受けられた、電源にまつわる故障の発生率が高くないことを祈ろう。

個人的には第4世代の iPod nano 以来、単機能のミュージックプレーヤとしての iPod に興味を失って久しいが、音楽再生そのものに対する興味まで失ったわけではない。

いや、単機能に徹するなら先代の iPod shuffle のように、極限まで切詰めるなら私的にはストライクであり、それはそれで潔いアプローチであると考えている。

中途半端な多機能が一番やっかいで、iPhone 4 や iPad を手にしてしまうと現状の iPod ファミリーは iPod touch も含めて興味をそそられることがない。

最近では高級オーディオを所有しているわけでもないので、音楽と真っ向から対峙して聴くようなこともなく、BGM 的な聴き方が最も多い。

過去には何枚かミュージックビデオも DVD という媒体で購入したものはあるが、結局頻繁に聴くのは映像のない方で、ライブ映像を収録したものでも似たような音源なら映像の無いもの選んでしまう。

たとえ短時間であっても、視覚も聴覚も音楽のみに集中することは、自分にとってはすでに贅沢な領域に入ってしまったのかもしれない。

その点、Apple TV はその名の通り良くも悪くもテレビであり、映像と音声を分けて考えるようなヒネクレモノは相手にしていない。要するに、映像でも音声でもその両方でも、好きなように見りゃあ良いんである。

結局、コイツはテレビに繋いでその傍らこそが最もふさわしい居場所なんだということを実感し、テレビとは無関係に離れたところに鎮座しているiPod Hi-Fi のお守りは、いまだに AirMac Express が担当している、というわけだ。

いっそのこと、iPod Hi-Fi をテレビ用のスピーカに格下げしてしまえば全ては解決するのだろうが、設置場所や視聴位置との関係など、諸般の事情もあってそれもままならない。

ましてや、ホームシアターなどでは決してなく、ニュース番組視聴用程度にしか使用していない19インチのマメテレビごときに音楽用スピーカはミスマッチである。

現在よりも大きい画面のテレビにおいて、ハイファイスピーカとの組合せを試してみた時に過去何度も経験している。特に男性アナウンサーなどの低音部が耳障りになり、映画やドラマのセリフの明瞭度上げるためには、ローカットフィルタをカマしたセンタースピーカが必修になるのである。

たしかに価格的には AirMac Express より千円も安いし、Apple Remote が標準添付されていることまで考慮するなら、Magic Mouse あたりと大差はない。

とはいえ、 AirMac Express のかわりになればと思ったのだが、その映像・音声に関する多機能ぶりを考えるとBGM 専用にはもったいない気がしてしまう、貧乏人根性が恨めしい。

そうなると、矛先は俄然

「AirMac Express の方こそ不当に高いんぢゃねえの?」

という、あらぬ方向に向いてしまうのが、アップルとしてはツライところだろうな。 

…ということで、今年も残りわずか、で来年もヒトツよろしく。

2010年12月某日 Hexagon/Okayama, Japan