2012年07月06日:iCloud 移行とMac 雑感

 
 
iCloud 移行とMac 雑感

「6月30日以降、ご利用のメールは iCloud へ移行されます。」


案の定、目の前の厄介ごとを先送りにしただけの、姑息な対応だったようだ。昨日になってようやく、iCloud 非対応機器においてメールのエラーが発生し始めた。

標題の件は、額面通りの「自動強制移行への予約手続き」に過ぎなかったことが、今頃になって判明したわけである。


iOS 5.1.1 の iPad の場合は、6月30日以前に MobileMe アカウントの移行作業を行っても、一切の設定変更なしに継続使用できている。しかし、iOS 4.x.x の非対応(メールの設定内に、そもそも iCloud という選択肢が無い)機種でも、そのまま使えているように見えていたが、を7月5日になって突然サービス終了の表示と共に、使用不可になってしまった。

もちろん、以前から行っている受信サーバの設定を変更すれば、普通に使用できる。問題はメール設定の変更なしに継続利用できるモノと勘違いをさせるような表現もさることながら、移行自体がアップルの都合による気まぐれなタイミングで自動で行われてしまうことによって、ある日突然使用不能になってしまうことだ。

当初、6月30日というのははたして現地時間なのか、それとも太平洋標準時なのかと日付の変わり目で iDisk やフォトギャラリーの表示を注視していたが、その時点では何も変化はなかった。それどころか、赤札の掛かった MobileMe ログインページには、もうしばらくの猶予を与える旨が表示されていたぐらいである。

「あとしばらくの間だけアカウントをiCloudへ移行、ギャラリーから写真をダウンロード、そしてiDiskからファイルをダウンロードできます」と、アップルにしては珍しく、駆け込みで遅れてきた粗忽者に対する温情かとも思ったが、そんなわっきゃあない。

思うに、いくら評判の悪い MobileMe とて相当数のユーザを抱えている訳だし、多数あるであろうサーバへのアクセスルートをストップウォッチを片手にハイそこまで!…とばかりに、スイッチ一つで瞬時に遮断できるわけがない。

どうせ、ドーナツ片手にキーボードを叩いているような、アメリカンな連中(アメリカ人とは限らない)が人海戦術でやっているんだから、コーヒーをこぼして作業が中断するようなトラブルがあっちこっちで、たぶん 2〜30件ぐらいは発生していたに違いないのだ。その結果、今ごろになって iCloud 非対応機器に影響が出てきたんだろう。

しかし、振り返ってみれば「評判の悪かった」という形容詞がお約束のように付加されるモ〜ボ〜ミィ、個人的には結構気に入って使っていた。ただ、同期機能などのコンセプトの先進性は評価できるのだが、実用面において主に速度的な問題と、汎用性に欠ける点が多いことなど、全く不満がないわけではなかった。

加えて初期より抱えていたバグというか不具合について、結局最後まで修正されずに終わったものも少なくない。すべてが MobileMe の問題ばかりではないのだろうが、同期可能なアプリで発生する不具合が多いので、下手人は MobileMe に違いないと踏んでいる。

具体例をあげればキリがないが、代表的なのはアドレスブックやメール内に組み込まれたメモ機能におけるテキスト処理の致命的なバグだろう。思ったところにコピペ出来なかったり、勝手にカーソルが先頭行に戻ってしまったり、同期後にメモの内容が重複したり特定行の行頭に半角の “n” が挿入されたりなど、ありとあらゆる現象が発生して、およそ見るものを飽きさせない。

はたまたiDisk に転送した文書の BOM (Byte Oder Mark) の取り扱いなど、主に日本語(2バイトコード)の処理に問題が多かったことから、毎度指摘しているローカライザの不手際によるところが多く、やっぱ基本メイドイン USA だなあ、と今更のように思い知らされる。(だいたい、葉書印刷の設定がない住所録なんざ、日本人をナメているとしか思えないだろう。)

その点、後発の似たようなサービスは、機能的に欲張らず単純なことを確実に実現していたことにより、ウケが良かったのだろう。結果、アップルも高機能な統合型サービスを見直して、シンプルな使い勝手を目指しているのだろうが、今のところ空回りしているように見える。

出始めだから長い目で見る必要はあるだろうが、MobileMe 初出時より iCloud のゴタゴタの方が遥かにひどいと思う。少なくとも、.Mac(ドットマック)から MobileMe への移行で失われるものは何もなかったように記憶しているが、単に何でもかんでも昔は良かったという、年寄りの勘違いかもしれない。(MobileMe に合掌)




さて、次なる問題は山猫と iOS6 である。

元より、クリエイティブな作業に向いていないと言われている、iOS 機器に無理やり創造性を持たせようとするより、Mac 側により iOS 機器に適した文書生成機能を持たせたソフトウェアを搭載することの方が、相互の機能を生かした使い方に貢献するはずである。

常々思っていることだが、そのディバイスがクリエイティブに使えるかどうかは、使用するユーザに拠るところが大きい。もちろん、ある程度ソフトウェアによる支援は必要だが、物理的なキーボードや汎用インターフェイスがあったからといって、クリエイティブなディバイスとはならない。また、ユーザがそのディバイスを単体で使用することに限定して論じても意味はない。あらゆるディバイス群の一つとして、クリエイティブ支援ディバイスという位置づけには十分になりえる。要は、クリエイターに対して、使う気にさせることができるか、という点が重要なのだ。

1956年、中東で勃発したスエズ動乱がきっかけになって、極めて経済的な4人乗り小型車として開発されたのが、オリジナルのミニである。エンジン以外は好きにしていいよ〜的な、設計自由度の高い命をうけてイシゴニスが作り上げたそれは、全長 3m ほどの非力なコンパクトカーに過ぎなかった。しかし、当時としてはその驚異的なハンドリング性能が、ジョン・クーパーなどレース関係者らに注目され、1960年代には数多くのレースで活躍。並居るライバル(911, A110, DS21, Fulvia HF, etc.)を相手に、優秀な成績を残した。

…という、歴史的事実もあるくらいだから、ジャンルは違えど必ずしも開発時のコンセプトが、そのまま用途を決定するとは限らない、という例にはなるだろう。…余談である。

iCloud サイトにおける iWork の同期機能など、フォントなどの互換性も解決されていない現状では、お笑い種としか言いようがないと思うんだが…。なのにアップルは、Back to Mac と称して iOS からのフィードバックに躍起になっているようだが、足の引っ張り合いになってしまうようなことになりはしないか、一抹の不安もある。

ウケ狙いとしか思えない、今更なメモやリマインダーをことさら山猫の主要な特徴であるかのように吹聴するヒマがあったら、プレビューとテキストエディットをさっさと統合して、ペイント&ドロー機能でも持たせりゃあ、Mac OS のキラーアプリとして十分に威力を発揮できると思う。そいつで生成した PDF や RTFD の修正機能だけ持たせたアプリを用意していれば、少なくとも現状では iOS 機器としては十分な気もする。

プレビュー自体、元々その名の通り画像の閲覧専用ソフトとして開発された経緯があるのだが、その生立ちが足枷になっているのか、バージョンを重ねることで相当高機能になったわりに未だに新規書類の生成機能は無いし、なぜかテキストを開いたり編集する機能は持たされていない。名前に由来する機能という点では、クイックルックですでに果たされていることを考えると、当初の役割はもう終わっているんだから、次のステップへと発展するべきだろう。

このように、OS X のアップル純正ソフトには分かりやすさを重視するあまり、多くの矛盾を持ったソフトが多い。端から見れば機能が足りないのではなく、あえて制限をかけているのかと思うが程に不条理である。とりわけ iWork などは、その最たるモノだ。

Microsoft Office を意識するあまり、ピンポイントで対抗する事ばかりに注力した結果、本来 Macの持つ優位性である、グラフィカルなソフトウェア群が完全に欠落している。これこそサードパーティ任せにしてはおけない重要なジャンルなはずなのに、である。

エクセル、ワード、パワーポイントまで対抗したらそれで満足してしまい、そこからドロー、ペイントと発展させてこそ優位に立てる可能性があるにもかかわらず、それを完全に放棄している現状には不満を持つマックユーザは少なくないと思うんだが、アップルとしての見解はどうなんだろうね〜。

思わず笑っちまう GarageBand はまだしも、iPhone で iWork や iMovie など、冷静に考えれば実用性があるのかは甚だ疑問なのだが、その場のノリで、iPad 用についポチってしまった。ま、後から iPhone でも追加費用なしで利用できるというのでインストールはしているが、閲覧用の互換ソフトと割り切っている。

どこぞのノーパソメーカのお偉方が、タブレットとノートパソコンは機能的に住み分けができるモノだ、iPad の台頭などは全く心配していない、などと豪語していたが、あながち間違いではないと思う。

ただ、創造性を持った機器と消費行動に特化した機器の比較論という点においては正解なんだが、自社製品(たぶん創造性があったんだろう)の購入者の大半が、消費行動が目的であるにもかかわらず、他に選択肢もなかったお陰で選ばれていた、という事実に気がついた時には既に手遅れになっていたことが、悲劇であり喜劇でもある。

注釈:ノーパソメーカ=ノートパソコン・メーカ≒主としてノート型のパーソナルコンピュータを製造・販売しているメーカのことなので、くれぐれもノーパンと空目しないように…。
考察:ノートパソンコンを設置したネットカフェが、ノーパソ喫茶という看板を掲示したとしても、法的になんら問題はない。

アップルは、その両方を手中にしようと画策しているわけだから、そのハードルは既に相当高い。そのせいか、Mac としてのもう一方の雄であるデスクトップ機 iMac は、ここ暫くは音沙汰がない。(たぶん、他で忙しくて手が回らないんだろう)

本来もっと以前から騒がれてもおかしくない、もう一年以上もアップデートされていない 異例中の異例とも言える次期 iMac の動向も気になるところであるが、やっぱ Retina はまだちょっとムリだろう。

現行27インチが、2,560×1,440(108ppi)だから、まともに高解像度化すると 5,120×2,880(216ppi)という、4K2K どころではないトンデモないシロモノになってしまう。たぶん、ビデオ回路は Thunderbolt の転送速度でも、追っつかないんぢゃないかなあ。価格もおよそ iMac らしくない、面白くないレベルに上がるだろうし、だいたいソフトウェアがキッチリ対応しないと、MacBook Pro with Retina の二の舞になるだけだろう。(高精細 220ppi と大風呂敷を広げたものの、描画速度がついてこなかったり、純正以外の対応アプリが少なかったりなどで、大半のユーザは 1,920×1,200 程度での使用を余儀なくされているらしい)

どうも最近は、アップル自らハードルを上げ過ぎることが多くて、基本的なことがいつまでたっても安定しない、不本意な状況に陥っているような気がする。

とりあえず、皆が期待する派手な打ち上げ花火ばかりに気を取られていると、足元を掬われるぞ‼  と声を大にして、締めておこう。




何かとまとまらない、毎度毎度言いたい放題の散漫な話ではあるが、基本思いつきと勢いだけで書いているんだから、当たり前なんである。

ちなみに、この長文は 100% iPad のメモソフトで書き上げたんだが、さすがに疲れましたな。

…ということで、今年後半もヒトツよろしく。

2012年07月某日 Hexagon/Okayama, Japan
 

2012年07月06日